「ブリリアントモアは研磨剤が入っていないから、歯を削らずに着色が落ちる」。そう聞いて気になっている方は多いと思います。コーヒーや紅茶の着色は、毎日きちんと磨いていても少しずつ戻ってきますよね。
ただ、公式の全成分表示を確認すると、少しだけ話が違います。この記事では、ブリリアントモアWの成分と仕組み、落ちる着色と落ちない着色、そしてルシェロホワイトとの違いを、メーカー公式の情報をもとに整理しました。
自分は現役の歯科医師で、この製品は以前使っていて、勤務先にも置いていたものです。宣伝文句ではなく、公式に書かれている事実をもとに、正直なところをお伝えします。
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ブリリアントモアWとは?「ステインを浮かせて落とす」歯みがき粉

ブリリアントモアWとは、歯の表面についた着色汚れ(ステイン)を浮かせて落とすことを目的につくられた、歯科用の美白歯みがき剤です。ライオン歯科材の製品で、区分は医薬部外品にあたります。公式では「ステインを浮かせて落とす美白ハミガキ」と説明されています。
「W(ダブル)」は何がダブルなのか?
ダブルなのは、着色を浮き上がらせる「清掃助剤」が2種類入っている点です。具体的には、ピロリン酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムの2つです。
公式は、その仕組みをこう説明しています。歯の表面(エナメル質)にはプラスの電気を帯びたカルシウムイオンがあり、そこにマイナスの電気を帯びたステインがくっついています。この2つの結びつきに、ステインよりも歯と仲のいいピロリン酸イオン・ポリリン酸イオンが割り込むことで、ステインが浮き上がる、という考え方です。
もともとの製品にはピロリン酸ナトリウムが入っていました。そこにポリリン酸ナトリウムが加わったのが「W」です。
基本スペックは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Brilliant more W(ブリリアントモア ダブル) |
| メーカー | ライオン歯科材 |
| 区分 | 医薬部外品 |
| 内容量 | 90g |
| 香味 | ナチュラルペパーミント/アプリコットミント/シトラスミント の3種類 |
| 価格 | メーカー希望患者様向け価格 950円(税抜) |
| 販売名 | ブリリアントモアBa/Bb/Bc(香味ごとに異なる) |
950円は、メーカーが示している希望患者様向け価格です。通販での実売価格はこれとは異なりますので、購入時にご確認ください。
旧「ブリリアントモア」との違いは?
公式のブランドサイトで現在紹介されている歯みがき剤は、Wのみです。「W」ではない旧製品の掲載は確認できませんでした。
また、香味も変更されています。以前の「フレッシュスペアミント」は「ナチュラルペパーミント」に変わったと公式に記載があります。買うときは、パッケージに「W」の文字があるかを確認すると確実です。
ブリリアントモアWは「研磨剤なし」って本当?

結論から言うと、研磨性のある成分は入っています。「研磨剤ゼロ」という説明を見かけることがありますが、公式の全成分表示には清掃剤として無水ケイ酸A(シリカ)が明記されています。
公式の全成分を見るとどうなっている?
公式に掲載されている成分を、役割ごとに整理すると次のようになります。
| 役割 | 成分 |
|---|---|
| 湿潤剤 | ソルビット液、プロピレングリコール |
| 清掃剤 | 無水ケイ酸A |
| 粘度調整剤 | 無水ケイ酸、カルボキシメチルセルロースNa |
| 薬用成分 | PEG-8、フッ化ナトリウム、ラウロイルサルコシンNa |
| 発泡剤 | ラウリル硫酸Na、POE硬化ヒマシ油 |
| 清掃助剤 | 無水ピロリン酸Na、ポリリン酸Na |
| そのほか | 香味剤、安定剤(酸化Ti)、保存剤(パラベン) |
名前が似ていて紛らわしいので、2つの言葉を整理します。
- 清掃剤:歯の表面の汚れをかき落とす成分。成分表示では「研磨剤」と書かれることもあり、呼び方が違うだけで役割は近いものです
- 清掃助剤:ステインを浮き上がらせる成分。ブリリアントモアWの「W(ダブル)」にあたる部分です
では何が違うのか?「浮かせる担当」と「落とす担当」が分かれている
ブリリアントモアWの特徴は、削る力だけに頼らない設計になっている点です。公式のメカニズム説明でも、清掃助剤がステインを浮き上がらせたあと、歯みがき剤の清掃機能とブラッシングで洗い流す、という2段構えで説明されています。この「清掃機能」の注釈として挙げられているのが、先ほどの無水ケイ酸Aです。
つまり、正確に言えばこうなります。
- ❌ 研磨性のある成分がまったく入っていない
- ⭕ 浮かせる成分があるぶん、削る力だけに頼らずに済む設計になっている
「削らないから安心」ではなく「削る力を主役にしていない」。この違いは、選ぶときに知っておいて損はありません。
歯が削れるのが心配な人が、本当に気をつけるべきことは?
歯や歯ぐきへの負担は、歯みがき粉の性質だけでなく、歯ブラシの硬さや磨く力、磨く時間にも左右されます。どんな歯みがき粉を使っても、硬い歯ブラシで強く長く磨けば、歯の表面や歯ぐきには負担がかかります。
とくに次のような方は注意してください。
- 歯ぐきが下がって、歯の根もとが見えている
- 冷たいものがしみることがある
- ブラッシングで力が入りやすい自覚がある
歯の根もとの部分は、エナメル質に覆われた部分よりやわらかく、すり減りやすい場所です。着色を落としたい気持ちが強いと、つい力が入ります。そこだけは意識してみてください。

「研磨剤が入っていないから削れない」と思って使っている人が多いんだけど、成分表を見ると清掃剤はちゃんと入っているんだ。それが悪いわけじゃないよ。むしろ着色を落とすには必要な役目だからね。ただ、削れないと思い込んで強く磨くのがいちばん惜しい使い方かな。
ブリリアントモアWで歯は白くなる?落ちる着色・落ちない着色

落ちるのは歯の表面についた着色までで、歯そのものの色は変わりません。ここを分けて考えると、期待はずれになりにくくなります。
落ちるのは「表面についた着色(ステイン)」
ステインとは、コーヒー・紅茶・お茶・赤ワイン・タバコなどに含まれる色素が、歯の表面に付着したもののことです。歯の表面には唾液由来のうすい膜があり、そこに色素がくっついて蓄積していきます。
この表面についた着色が、ブリリアントモアWのようなステイン対応の歯みがき粉が対象にしている部分です。
落ちないのは「歯そのものの色」と「詰め物・被せ物の色」
一方で、次のようなものは歯みがき粉では変わりません。
- 生まれつきの歯の色:歯の内側にある象牙質の色が透けて見えるもの
- 加齢による変化:年齢とともに象牙質が厚くなり、黄色みが強く見えるもの
- 詰め物・被せ物の色:プラスチックや陶材でできているため、材料自体の色は変えられません(表面についた着色が落ちることはあります)
- 神経を取った歯の変色:内側からの変色は、表面を磨いても改善しません
歯の黄ばみには複数の原因があります。自分の黄ばみがどのタイプかは、歯の黄ばみの原因の記事で整理しています。
ホワイトニング(漂白)とは何が違う?
ホワイトニングは薬剤で歯の内部の色素を分解する処置で、歯みがき粉とは仕組みがまったく違います。ブリリアントモアWの成分に漂白作用のある薬剤は含まれていません。
「もとの歯の色に近づける」のが着色ケアの歯みがき粉、「もとの歯の色より白くする」のがホワイトニングです。白さそのものを変えたい場合は、ホワイトニングの種類を確認してみてください。
どれくらいで変化を感じる?
公式に期間の記載はありません。着色のつき方や量によって差が出るところなので、「何日で白くなる」とは言えないのが正直なところです。
ただ、数日でがらりと変わるようなものではありません。いつもの歯みがきの中でしばらく続けてみて、それでも変化が乏しい場合は、着色の種類を歯科医院で確認してもらうと確実です。

着色ケアの歯みがき粉で戻せるのは、その人がもともと持っている歯の色までなんだ。だから「前より白くなった」と感じる人と「変わらない」と感じる人が出てくる。差が出るのは製品の当たり外れじゃなくて、そもそも着いていた着色の量なんだよ。
実際に使ってみて感じたこと

結論としては、着色ケア用として無理なく続けられる歯みがき粉でした。自分は以前これを使っていて、勤務先にも置いていました。ただし、最近のメインは別の製品に落ち着いています。
使ってみてよかったところ
- 泡立ちが強すぎない:口の中が泡でいっぱいにならないので、時間をかけて磨きやすいと感じました
- ざらつきが少ない:ペースト自体のざらつきが気になるタイプではありませんでした
- 香味が3種類ある:ミント系が苦手な方でも選択肢があるのは、続けるうえで意外と大きい点です
気になったところ
- 劇的に白くなるものではない:あくまで表面の着色までなので、期待値が高いとがっかりしやすいと思います
- 内容量が90g:一般的な歯みがき粉と比べるとやや少なめで、買い替えの間隔は短くなります
- 買える場所が限られる:歯科医院か通販が中心になります
いま自分が別の歯みがき粉を使っている理由
これは製品の優劣というより、選び方の好みの問題です。自分は虫歯予防も同時に意識したいので、フッ素濃度が公表されているかどうかを判断材料のひとつにしています。ブリリアントモアWはフッ化ナトリウムを配合していますが、濃度は公式に記載がありません。
その点でルシェロホワイトを選んでいる、というだけの話です。着色ケアの性能そのものを比べて乗り換えた、というわけではありません。
ブリリアントモアWとルシェロホワイトの違いは?

いちばん大きな違いは、着色を浮かせる仕組みと、フッ素濃度が公表されているかどうかです。公式情報を並べると次のようになります。
成分と仕組みの比較表
| ブリリアントモアW | ルシェロホワイト | |
|---|---|---|
| メーカー | ライオン歯科材 | ジーシー(GC) |
| 内容量 | 90g | 100g |
| 浮かせる仕組み | 清掃助剤(ピロリン酸Na・ポリリン酸Na)がイオン結合に割り込む | 弱アルカリ性のペーストが着色を分解して浮かせる |
| 清掃剤 | 無水ケイ酸A | Lime粒子(炭酸カルシウム/歯質より軟らかい) |
| ヤニ対応 | 記載なし | PEG400がヤニを溶解除去 |
| フッ素 | フッ化ナトリウム配合(濃度の記載なし) | モノフルオロリン酸ナトリウム 950ppmF |
| 口臭予防成分 | あり(ラウロイルサルコシンNa) | 記載なし |
| 香味 | 3種類 | ピュアミント1種類 |
| 価格 | メーカー希望患者様向け価格 950円(税抜) | 希望患者価格 1,980円(税込) |
フッ素はどちらが上?濃度が公表されているかどうかの差
ブリリアントモアWはフッ化ナトリウムを配合していますが、濃度(ppm)は公式に公表されていません。ルシェロホワイトは950ppmFと明記されています。
ただし、ここで注意したいことがあります。虫歯予防の観点では、6歳以上で1400〜1500ppmのフッ素濃度が推奨されています。ルシェロホワイトの950ppmFはこれより低い濃度で、ブリリアントモアWは濃度を確認できません。虫歯予防を重視するなら、年齢に合ったフッ素濃度が明記された歯みがき粉と役割を分けるのが確実です。フッ素濃度の考え方は歯磨き粉のフッ素は安全?濃度の選び方でくわしく解説しています。
口臭予防成分があるのはブリリアントモアW
ブリリアントモアWには、薬用成分としてラウロイルサルコシンNaが配合されています。公式では、口臭の原因菌を殺菌して口臭の発生を防ぐ成分として説明されています。着色ケアに口臭予防が加わっている点は、ルシェロホワイトにはない特徴です。
どちらを選べばいい?
ブリリアントモアWが向いている方
- 着色ケアと口臭ケアを1本でまとめたい
- ミント味が苦手で、香味を選びたい
- 価格を抑えて続けたい
ルシェロホワイトが向いている方
- フッ素濃度がはっきり示されている製品がいい
- タバコのヤニ汚れが気になる
- 着色が気になる部分を集中的に磨く使い方をしたい
どちらも「表面の着色を落とす」という目的は同じです。決定的な優劣があるというより、何を優先するかで決まります。ルシェロホワイトについてはルシェロホワイトのレビュー記事にまとめています。
なお、歯ぐきが下がっている方や、冷たいものがしみる方は、着色を落とそうとして強く磨かないようにしてください。気になる症状がある場合は、購入前に歯科医院で相談すると安心です。

どちらがいいか迷うところだと思うけど、着色を落とすという目的ならどちらでも大きくは外れないと思うよ。自分はフッ素の濃度が書いてあるほうが選びやすいから、いまはルシェロを使っているだけなんだ。口の状態に気になるところがなければ、味や値段も選ぶ基準になるよ。
ブリリアントモアWの使い方と、効果を感じるためのコツ
ポイントは、力を入れないことと、着色がつきやすい場所に毛先を届かせることの2つです。公式に使用量や磨き方の細かい指定はありません。
公式がすすめているのは専用歯ブラシとの併用
公式では、ステインがつきやすい歯と歯のあいだや前歯の裏側に毛先が届きやすい「Brilliant more 歯ブラシ」との併用がすすめられています。つまりメーカー自身が、歯みがき粉だけでなく届かせ方が重要だと説明しているということです。
着色がつきやすいのは歯と歯のあいだと前歯の裏
着色は、歯ブラシの毛先が当たりにくい場所ほど残ります。鏡で見える前歯の表面はきれいでも、裏側や歯と歯のあいだに茶色く残っていることは珍しくありません。
専用の歯ブラシでなくても構いませんが、ヘッドが小さめの歯ブラシのほうが、こうした場所には届きやすくなります。
やってはいけない使い方は?
- 強い力でゴシゴシ磨く:強く磨く必要はありません。力を入れても着色が落ちるとはかぎらず、歯や歯ぐきへの負担が増えます
- たくさんつける:公式に使用量の指定はありません。量を増やせばよいというものではないので、ふだんどおりで十分です
- 短時間で済ませる:着色が気になる部分に、毛先を丁寧に当てる時間をとってください
力の入れ方や毛先の当て方そのものは、正しい歯磨き方法でくわしく解説しています。
毎日使っても大丈夫?
公式に使用頻度の制限は記載されていません。ただ、フッ素濃度が公表されていないことを踏まえると、虫歯予防を主目的にした歯みがき粉と役割を分けるのが現実的だと自分は考えています。
たとえば、ふだんは高濃度フッ素の歯みがき粉を使い、着色が気になってきたタイミングでブリリアントモアWを使う、といった組み合わせです。
このとき、フッ素入りの歯みがき粉で磨いたあとに別の歯みがき粉で磨き直すと、口の中に残るフッ素が少なくなってしまいます。同じタイミングで2本使うのではなく、時間帯や曜日で分けるほうがよいでしょう。目的別の使い分けは歯磨き粉の選び方にまとめています。

歯みがき粉を変えても白くならないときは、何が原因の色なのかを先に確かめるのがいちばん早いんだ。表面の着色なのか、歯そのものの色なのか。そこが分かれば、次に何をすればいいかもはっきりするよ。
よくある質問
Q. ブリリアントモアWに研磨剤は入っていますか?
A. 公式の全成分表示には、清掃剤として無水ケイ酸Aが記載されています。清掃剤は歯の表面の汚れをかき落とす役割の成分で、研磨剤と呼ばれることもあります。「研磨性のある成分がまったく入っていない」わけではありません。
Q. フッ素濃度は何ppmですか?
A. フッ化ナトリウムが配合されていることは公式に記載がありますが、濃度(ppm)の記載は確認できませんでした。虫歯予防を重視する場合は、フッ素濃度が明記された歯みがき粉と併用することをおすすめします。
Q. 毎日使っても大丈夫ですか?
A. 公式に使用頻度の制限は記載されていません。ただし、力を入れて磨けばどの歯みがき粉でも歯や歯ぐきに負担がかかります。やさしく磨くことのほうが大切です。
Q. 子どもも使えますか?
A. 公式に対象年齢の記載は確認できませんでした。子ども用の歯みがき粉は年齢に応じたフッ素濃度が推奨されているため、お子さんには年齢に合った製品を選ぶほうが安心です。
Q. 香味はどれを選べばいいですか?
A. ナチュラルペパーミント、アプリコットミント、シトラスミントの3種類があり、成分の構成は共通です。着色を落とす働きに違いはないので、続けやすい好みで選んで問題ありません。
Q. 詰め物や被せ物も白くなりますか?
A. なりません。詰め物や被せ物の材料自体の色は歯みがき粉では変わりません。表面についた着色が落ちることはありますが、素材の色を白くすることはできません。
Q. どこで買えますか?
A. 歯科医院のほか、通販でも購入できます。取り扱い状況は販売店によって異なります。購入時は、パッケージに「W」の表記があるかを確認してください。
まとめ

ブリリアントモアWについて、整理します。
- 「研磨剤なし」ではありません。公式の全成分に清掃剤(無水ケイ酸A)が明記されています
- 特徴は、清掃助剤2種類で着色を浮かせてから落とす設計になっている点です
- 落ちるのは表面の着色まで。歯そのものの色や、詰め物・被せ物の色は変わりません
- フッ素濃度は公表されていません。虫歯予防は別の歯みがき粉に任せる使い分けが現実的です
- ルシェロホワイトとの違いは、浮かせる仕組み・フッ素濃度の表示・口臭予防成分の有無です
着色は毎日の飲みものや習慣とつながっているので、歯みがき粉だけで完全に防ぐのは難しい部分があります。それでも、仕組みを知って使えば、表面の着色をケアしたい方にとって選択肢の一つになる製品だと思います。
しばらく試しても変化がないときは、歯みがき粉で対応できる範囲を超えているかもしれません。歯みがきで落ちない着色は、歯科医院で除去できる場合があります。歯石がついている場合は、スケーリングなどの処置が必要です。着色を落としたうえで歯の色そのものが気になる場合は、セルフホワイトニングとの違いも含めて検討する方法があります。
しみる、歯ぐきが下がっているといった症状があるときは、一度歯科医院で相談してみてください。原因が分かれば、遠回りせずに済みます。



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