ホワイトニングができない人の条件は?「受けられない」と「白くならない」は別

症状・お悩み

「自分はホワイトニングを受けられるんだろうか」。持病があったり、虫歯が気になっていたり、差し歯が入っていたりすると、申し込む前に不安になりますよね。

結論からお伝えすると、「できない」には性質の違う4つのパターンがあり、そのうち2つは条件が変われば受けられます。まとめて「できない人」として並べてしまうと、自分がどこに当てはまるのか判断できません。

この記事では現役の歯科医師として、学会の指針をもとにその4つを整理します。方法そのものについてはホワイトニングの種類と流れの解説記事もあわせてご覧ください。

  1. ホワイトニングができない人は?まず4つに分けて考える
    1. 「受けられない」と「白くならない」は別の話
    2. 自分がどれに当てはまるかは、診てもらわないと分かりません
  2. ①全身の理由でホワイトニングを受けられない人は?
    1. 妊娠中・授乳中の方
    2. お子さん
    3. 気管支喘息などの呼吸器疾患がある方
    4. 無カタラーゼ症の方
    5. 光線過敏症の方
  3. ②先に治療すれば、ホワイトニングを受けられる人は?
    1. 虫歯がある場合
    2. 歯周病・歯ぐきに炎症がある場合
    3. 歯石や着色がついている場合
    4. 知覚過敏がある場合
  4. ③漂白しても白くならない歯は?
    1. 詰め物・被せ物などの人工物
    2. 金属イオンによる変色
    3. 神経のない歯には、別の方法があります
  5. ④程度によって判断が分かれる歯は?
    1. テトラサイクリン変色は、程度で判断が分かれます
    2. 形成不全など、実質欠損のある歯
    3. 反対に、加齢による黄ばみは相性が良いとされています
  6. ホワイトニングを断られたらどうする?代わりの選択肢
    1. まずクリーニングで、落ちる着色を落とす
    2. 時期を待てば受けられるケースもあります
    3. ⚠️「歯科で断られたからセルフで」は解決になりません
  7. 受けられるかどうかは、どこで判断されるの?
    1. 検査で確認されること
    2. 事前に伝えておきたいこと
  8. ホワイトニングができない人に関するよくある質問(FAQ)
  9. まとめ:できない理由が分かれば、次の手を考えられます
  10. 参考文献・出典

ホワイトニングができない人は?まず4つに分けて考える

ホワイトニングができない4つのパターンを角丸カードで並べて比べた図

「ホワイトニングができない」と言われる状況は、次の4つに分かれます。このうち②は治療を済ませたうえで、ほかに禁忌がなければ検討できます。③は施術できても色が変わらないもの、④は変色の程度によって判断が分かれるものです。

分類どういう状態かこの先どうなるか
①全身の理由で受けられない妊娠中・授乳中、お子さん、特定の持病がある時期を待つ、または別の方法を検討する
②先に治療が必要虫歯、歯ぐきの炎症、歯石がある治療を済ませ、ほかに禁忌がなければ検討できる
③漂白しても白くならない詰め物・被せ物、金属イオンによる変色被せ物の交換など、別の方法になる
④程度によって判断が分かれるテトラサイクリン変色、歯の形成不全など軽度なら適応。重度は指針上は禁忌とされる
出典:日本歯科審美学会「歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針」、日本歯科医師会 テーマパーク8020「ホワイトニング」をもとに作成

「受けられない」と「白くならない」は別の話

ネットの記事では、この4つがひとまとめに並んでいることがよくあります。ただ、安全上の理由で施術できない①と、施術はできるが色が変わらない③は、まったく別の問題です。前者は時期や体調の話、後者は歯の材質や変色の原因の話だからです。

自分がどれに当てはまるかは、診てもらわないと分かりません

変色の原因は、見た目だけでは判断がつかないことが多くあります。とくに1本だけ色が違う場合、原因が神経なのか、過去の治療なのか、金属イオンなのかで対応が変わります。この記事は「見当をつけるため」のもので、最終的な判断は歯科医院での診査が必要です。

①全身の理由でホワイトニングを受けられない人は?

全身の理由でホワイトニングを受けられないケースを5つのアイコンで示した図

日本歯科審美学会の指針では、全身的な要因による禁忌症として、妊娠期・授乳期の女性、小児、気管支喘息などの呼吸器疾患、無カタラーゼ症、光線過敏症が挙げられています。順番に見ていきます。

妊娠中・授乳中の方

この時期は避けたほうが良いとされています。胎児や乳児への漂白剤の影響が確認されていないためです。危険だと分かっているのではなく、安全だと確かめられていないから避ける、という考え方です。出産・卒乳後に改めて検討しましょう。

お子さん

指針では「小児」が禁忌症に挙げられています。ただし、何歳からなら受けられるという数値は、指針にも公的機関の資料にも示されていません。実際の線引きは歯科医院によって異なります。お子さんの歯の変色が気になる場合は、漂白の前に原因を診てもらってください。

気管支喘息などの呼吸器疾患がある方

薬剤に使われる過酸化水素からは気体が発生し、その刺激があるため禁忌とされています。喘息の症状が落ち着いているかどうかにかかわらず、持病があることは必ず事前に伝えてください。

無カタラーゼ症の方

過酸化水素を分解する働きに関わる、まれな体質です。指針では全身的な禁忌症のひとつとして挙げられています。

光線過敏症の方

光線過敏症も、全身的な禁忌症のひとつに挙げられています。光を使わない方法を含め、実施できるかどうかは、使用する製品や体調をふまえて歯科医師が判断します。

しょう
しょう

持病や飲んでいる薬のことは、聞かれなくても先に伝えてほしいんだ。「歯の処置だから関係ないだろう」と思って言わない人がいるんだけど、ホワイトニングは体質によって避けたほうがいいものがある。遠慮せずに全部話してくれたほうが、こちらも安全な進め方を提案できるよ。

②先に治療すれば、ホワイトニングを受けられる人は?

虫歯の治療からクリーニングを経てホワイトニングへ進む流れを3コマで示した図

虫歯や歯ぐきの炎症は「一生できない」という話ではありません。指針でも、施術する部位は健全であることが前提とされ、虫歯・歯石の沈着・歯肉炎がある場合は、ホワイトニングを始める前に治療を行うと示されています。

虫歯がある場合

虫歯がある歯は刺激を受けやすく、しみる原因にもなるため、先に必要な治療を行います。ただし、詰めた材料は漂白では白くならないため、治療の順番や材料の色を先に相談しておくと、あとで色が合わない事態を避けやすくなります。

なお、指針では大きな虫歯のある歯や、広い範囲を修復した歯そのものが禁忌症に挙げられています。治療をしても、その歯が漂白の対象にならないことはあります。

歯周病・歯ぐきに炎症がある場合

薬剤が歯ぐきを刺激するおそれがあるため、炎症を落ち着かせてからになります。

歯石や着色がついている場合

歯の表面に汚れが残っていると薬剤が働きにくくなります。そもそも、着色を落としただけで十分白く見えることも珍しくありません。まずは歯石取り(クリーニング)で本来の色を確認してから、漂白が必要かを判断するのが順番です。

知覚過敏がある場合

知覚過敏そのものは、指針の禁忌症には挙げられていません。一律にできないわけではありませんが、まず原因を確認することが先です。原因が虫歯や歯のひびであれば、その治療を済ませてから進みます。詳しくはホワイトニングでしみるときの対処法で解説しています。

しょう
しょう

「まず虫歯を治しましょう」と言われると、遠回りに感じるかもしれないね。でもこれ、断っているわけじゃないんだ。先に必要な治療や清掃を済ませておくことは、安全に進めるためにも、仕上がりを予測しやすくするためにも大事なんだよ。

③漂白しても白くならない歯は?

天然の歯は明るくなり、人工物は色が変わらないことを比べた図

漂白で色が変わるのは、基本的に天然の歯だけです。次のものは、施術を受けても白くなりません。

詰め物・被せ物などの人工物

金属もセラミックもレジンも、漂白では色が変わりません。日本歯科医師会の解説でも、金属製の詰め物や被せ物は漂白では白くできず、歯と同じ色の材料に置き換えると説明されています。前歯に人工物が入っている場合は、周りの歯だけが明るくなって差が目立つことがあります。

金属イオンによる変色

自分の歯であっても、金属イオンによって変色したものは漂白できないとされています。

神経のない歯には、別の方法があります

神経を取った歯の変色は、外側からの漂白ではなく、歯の内部に薬剤を入れるウォーキングブリーチの適応になることがあります。ただし、残っている歯の量が少ない場合などは行えません。

これらの見分け方は、歯の黄ばみの原因と落とし方でくわしく解説しています。

④程度によって判断が分かれる歯は?

同じ原因の変色でも、程度によって適応と禁忌が分かれるものがあります。ここは自己判断がもっとも難しいところです。

テトラサイクリン変色は、程度で判断が分かれます

テトラサイクリン変色とは、乳幼児期に服用した抗菌薬の影響で、歯そのものの色が変わった状態のことです。変色が軽い段階は適応症、重い段階は禁忌症と、程度によって分けられています。日本歯科医師会も、濃い変色を漂白の難症例と説明しています。

つまり「テトラサイクリンだから受けられない」とは限りませんが、重度の場合は指針上は禁忌にあたります。どちらに当たるかは診断が必要です。

形成不全など、実質欠損のある歯

形成不全とは、歯が作られる過程でエナメル質などが十分にできなかった状態のことです。形成不全など実質欠損のある歯は、禁忌症とされています。

反対に、加齢による黄ばみは相性が良いとされています

年齢とともに出てくる黄ばみは、日本歯科医師会が漂白の最適応症と説明している変色です。「歳のせいだから無理だろう」と思っている方こそ、一度相談してみる価値があります。

ホワイトニングを断られたらどうする?代わりの選択肢

歯を白くする方法を、侵襲の少ない順に5段の階段で並べた図

断られても、歯を白く見せる方法がなくなるわけではありません。日本歯科医師会は、歯は削るほど寿命を縮めやすいことから、満足できる効果が得られるなら、より侵襲の少ない処置を選びたいという考え方を示しています。次の順で検討していきます。

順番方法向いているケース
1毎日の歯磨き・着色ケア用の歯磨き粉表面の着色が主な原因
2歯科医院でのクリーニング茶渋・ヤニなどの沈着
3漂白(ホワイトニング)歯そのものの色を明るくしたい
4歯の表面に薄いセラミックを貼る方法漂白では届かない変色
5被せ物で色を変える方法歯の形や大きさも変えたい
日本歯科医師会 テーマパーク8020「ホワイトニング」の分類(侵襲の少ない順)をもとに作成

まずクリーニングで、落ちる着色を落とす

漂白が受けられない場合でも、表面の着色は落とせます。茶渋やタバコのヤニのような外からついた色素は、多くの場合、専門的な歯面研磨だけで本来の色を取り戻せるとされています。

時期を待てば受けられるケースもあります

妊娠中・授乳中や、治療の途中である場合は、「今はできない」だけです。いつなら検討できるのかを聞いておくと、見通しが立ちます。

⚠️「歯科で断られたからセルフで」は解決になりません

歯科医院で断られた方が、サロンのセルフホワイトニングに向かうことがあります。しかし、一般的なセルフホワイトニングでは、歯科医院の漂白と同じ過酸化物系の薬剤は扱えないため、歯そのものの色は変えられません。また、そこは禁忌や変色の原因を歯科医師に診断してもらう場ではないため、断られた理由の解決にはなりません。詳しくはセルフホワイトニングは効果ない?にまとめています。

しょう
しょう

もし「できません」と言われたら、そこで終わりにしないで理由を聞いてみてほしいな。「時期を待てばできる」のか「この歯には効かない」のかで、次の一手はまったく変わるんだ。理由が分かれば、別の方法を一緒に探せるからね。

受けられるかどうかは、どこで判断されるの?

カウンセリングと検査で判断されます。歯科医院で行うホワイトニングでは、原則として事前にカウンセリングと口の中の診査を行います。

検査で確認されること

  • 虫歯・歯周病の有無、歯石や着色のつき方
  • 詰め物・被せ物の位置と材質
  • 変色の原因(外からの着色か、歯そのものの色か)
  • 歯のひび・削れ・知覚過敏の有無

事前に伝えておきたいこと

  • 妊娠している・その可能性がある・授乳中である
  • 持病(とくに喘息などの呼吸器疾患)と飲んでいる薬
  • 光や薬剤でアレルギーが出たことがあるか
  • 過去にホワイトニングで強くしみた経験があるか

気になることがあれば、定期検診のときに「ホワイトニングを考えている」と伝えておくと、必要な準備から相談できます。

しょう
しょう

この記事を読んで「自分は当てはまるからダメだ」と決めてしまわないでほしいんだ。見た目だけでは変色の原因までは分からないからね。当てはまりそうだと思ったら、それを持って相談に行くくらいの気持ちがちょうどいいよ。

ホワイトニングができない人に関するよくある質問(FAQ)

Q. 虫歯があるとホワイトニングはできませんか?
A. 治療を済ませたうえで、ほかに禁忌がなければ検討できます。施術する部位は健全であることが前提とされ、虫歯がある場合は先に治療を行うと示されています。ただし大きな虫歯のある歯そのものは禁忌症に挙げられています。

Q. 子どもは何歳からホワイトニングできますか?
A. 学会の指針では「小児」が禁忌症に挙げられていますが、何歳から可能かという数値は示されていません。実際の対応は歯科医院によって異なるため、直接確認してください。

Q. 差し歯や詰め物があってもホワイトニングできますか?
A. 施術自体はできますが、人工物は白くなりません。天然の歯だけが明るくなるため、色の差が気になる場合は、人工物の作り替えもあわせて相談することになります。

Q. 授乳中ですが、搾乳して捨てれば受けられますか?
A. その方法で安全になるという根拠は示されていません。授乳期は避けたほうが良いとされている時期なので、卒乳後に検討することをおすすめします。

Q. 喘息の薬を飲んでいますが、伝えたほうがいいですか?
A. 必ず伝えてください。過酸化水素から発生する気体の刺激があるため、呼吸器疾患がある場合は禁忌とされています。症状が落ち着いていても申告が必要です。

Q. 歯並びが悪くてもホワイトニングはできますか?
A. 受けられますが、方法によって向き不向きがあります。自宅で行う方法はマウスピースが合いにくい場合があるため、どの方法が向いているかを相談してください。

Q. 一度断られたら、もう受けられませんか?
A. 理由によります。時期や治療が理由なら、条件が変われば検討できることがあります。歯そのものの性質が理由なら、別の方法が選択肢になります。まず理由を確認してください。

まとめ:できない理由が分かれば、次の手を考えられます

歯科医師が患者にホワイトニングの適応と別の選択肢を説明しているイラスト
  • 「できない」は4つに分かれる。全身の理由/先に治療が必要/白くならない/程度によって判断が分かれる
  • 虫歯・歯ぐきの炎症・歯石は、治療を済ませ、ほかに禁忌がなければ検討できる
  • 妊娠中・授乳中、小児、喘息などの呼吸器疾患、無カタラーゼ症、光線過敏症は禁忌とされている
  • 年齢の線引きは公的な資料に示されておらず、医院によって異なる
  • 人工物と金属イオンによる変色は漂白では白くならない
  • テトラサイクリン変色と形成不全は、程度によって適応と禁忌が分かれる
  • 断られても、クリーニングやセラミックなど別の道がある

日本歯科医師会も、漂白には適応症と非適応症があり、万能な処置ではないと説明しています。裏を返せば、適応を正しく見きわめられれば、歯を削らずに歯そのものの色を明るくできる選択肢だということです。

大切なのは、自己判断でやめてしまわないこと。当てはまりそうだと感じたら、その内容を持って歯科医院で相談してみてください。理由が分かれば、別の方法や適切な時期を検討できます。無事に受けられた場合は、後戻りと白さの保ち方もあわせて読んでおくと安心です。受けられると分かったら、費用の見当をつけておくと相談がスムーズです。

参考文献・出典

症状・お悩み
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この記事を書いた人
しょう

現役歯科医師(臨床経験10年以上)。むし歯・歯周病の治療から、ジルコニア・セラミックなど自費の補綴治療まで幅広く診療しています。「もっと早く知っていれば」を減らせるよう、診療室で患者さんに話すような内容を、臨床経験と公的機関・学会の情報をもとにわかりやすく発信しています。

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