「口内炎が痛くて食事がつらい」「同じところに何度もできる」——お口の中の小さな傷なのに、地味につらいのが口内炎ですよね。できるだけ早く治したいし、できれば繰り返したくない、というのが本音だと思います。
じつは口内炎の原因は一つではありません。疲れやストレスだけでなく、「尖った歯」や「合わない被せ物」など、歯が関係してできていることもあります。原因に合った対処をすれば、痛みをやわらげたり、繰り返しを減らしたりできる場合があります。
この記事では、現役歯科医師の自分が、口内炎の原因・種類から、今日からできる早く治すコツ、やってはいけないNG行動、そして「これは放っておいて大丈夫?」という受診の目安まで、やさしく解説します。まずは自分の口内炎がどのタイプかを知るところから始めましょう。(お口全体の健康が気になる方は歯科検診で受けられる内容の記事もあわせてどうぞ)
口内炎とは?なぜできるのか
口内炎とは、頬の内側・唇の裏・舌・歯ぐきなど、主にお口の中の粘膜(ねんまく/表面のやわらかい組織)に起こる炎症や潰瘍(かいよう)のことです。どこにでもでき、多くはしばらくすると自然に治りますが、原因はさまざまです。
口内炎の主な種類

口内炎にはいくつかタイプがあり、原因も治り方も少しずつ違います。まずは代表的なものを知っておきましょう。
| 種類 | 特徴 | 主な原因 |
|---|---|---|
| アフタ性口内炎 | もっとも多いタイプ。白~黄色っぽい円形で、まわりが赤く、境目がはっきりしている | 詳しい原因は不明。疲れ・ストレス・睡眠不足・栄養の不足などが誘因と考えられる |
| カタル性(外傷性)口内炎 | 境目がはっきりしない赤み・ただれ。特定の場所にできやすい | 頬や舌を噛んだ・尖った歯・合わない被せ物や入れ歯・矯正装置の刺激 |
| ウイルス性口内炎 | 小さな水ぶくれが集まってできることが多い | ヘルペスなどのウイルス感染 |
| カンジダ性口内炎 | 白い付着物が見られ、ぬぐうと赤みや出血が出ることがある(赤みが中心のタイプもある) | 真菌(カビの一種)。体調不良や免疫の低下時など |
この中でいちばん多いのがアフタ性口内炎です。小さな丸い潰瘍(かいよう/粘膜がえぐれた状態)が1~数個でき、その多くは1~2週間程度で自然に治っていきます。
口内炎の原因は何?よくある5つの要因

じつは、いちばん多いアフタ性口内炎の詳しい原因は、まだはっきりとは解明されていません。ただ、次のようないくつかの要因が「きっかけ(誘因)」になると考えられています。ここでは代表的な5つを紹介します。
① 疲れ・ストレス・睡眠不足
疲労や心理的なストレスは、口内炎の発症に関係する可能性があると考えられています。「忙しい時期にできやすい」と感じる方もいますが、詳しい仕組みはまだ十分に解明されていません。
② 栄養の不足
鉄・葉酸・ビタミンB12などの不足が、口内炎の発症に関係する場合があると考えられています。特定の食品だけに頼らず、バランスのよい食事を心がけることが大切です。偏った食事や食欲が落ちているときは、特に意識してみましょう。
③ 口の中の傷(噛んだ・尖った歯・合わない被せ物)

意外と多いのが、物理的な刺激による口内炎です。頬の内側を噛んでしまった、歯が欠けて尖っている、被せ物や入れ歯のふちが当たる、矯正装置がこすれる——こうした刺激が続くと、同じ場所に繰り返し口内炎ができることがあります。

「いつも同じところにできる」ときは、原因が歯の側にあることもあるんだ。尖った歯や合わない被せ物が当たっているなら、その部分を調整することで再発を減らせる可能性があるよ。塗り薬でごまかす前に、まず当たっている場所がないか一度チェックしてみてね。
④ 口の中の乾燥・不衛生
お口が乾くと、粘膜が刺激を受けやすくなることがあります。口呼吸のクセがある方は、口の中が乾かないよう意識するとよいでしょう。ただし、歯みがき不足がそのまま口内炎の直接の原因になるとは限りません。日ごろからお口を清潔に保つこと自体は、粘膜の健康にとって大切です。
⑤ ウイルスや病気が関係する口内炎
ヘルペスなどのウイルス感染や、体の病気の一症状として口内炎が出ることもあります。何度も広い範囲に繰り返す場合は、背景に別の原因が隠れていることもあるため、後述する「受診の目安」を参考にしてください。
口内炎を早く治すには?今日からできる5つのコツ

口内炎を早く治すコツは、「刺激を減らして、治る環境を整える」ことです。特別なことよりも、次の5つを地道に続けるのが近道です。
① 口の中を清潔に保つ
うがいをこまめにし、やさしく歯みがきをして、お口の中を清潔にしましょう。汚れや細菌が減ると、傷への刺激を減らし、治りやすい環境を整えられます。ただし、歯ブラシを口内炎そのものに当てるとかえって傷つけてしまうので、患部は避けて、まわりの歯や歯ぐきをやさしく磨きましょう。
② 刺激物を避ける(食事の工夫)
熱いもの・辛いもの・酸っぱいもの・塩辛いものは、傷にしみて悪化の原因になります。治るまでは、やわらかく薄味の食事にすると痛みが和らぎます。
③ 栄養と睡眠をとる
鉄・葉酸・ビタミンB12などを含む食品(赤身の肉・青魚・卵・納豆・緑の野菜など)をバランスよくとり、睡眠をしっかり確保しましょう。特定の食品に偏らず、全体を整えることが大切です。繰り返す場合は、医療機関で栄養状態を確認してもらうこともあります。
④ 市販薬(貼り薬・塗り薬)を活用する
ドラッグストアには、アフタ性口内炎を対象とした貼るタイプ・塗るタイプ・スプレータイプの薬があります。傷を保護して刺激を減らし、痛みをやわらげる助けになります。ただし、水ぶくれ・広い範囲のただれ・発熱をともなうときは感染症の可能性もあり、自己判断で使わず、購入前に薬剤師や登録販売者に相談してください。
⑤ 歯科医院でできる治療(尖った歯の調整など)
なかなか治らない、繰り返す場合は歯科医院に相談を。歯や被せ物による刺激が原因の場合は、その部分を調整することで再発を減らせることがあります。症状に応じた薬を処方してもらうこともできます。

市販薬はあくまで「痛みをやわらげて治りを助ける」もの。薬を続けても良くならないときは、原因が別にあるサインかもしれない。無理して市販薬を重ねるより、早めに歯科で相談したほうが安心だよ。
口内炎でやってはいけないNG行動は?
良かれと思ってやったことが、かえって治りを遅らせることもあります。次のような行動は避けましょう。
- つぶす・針でつつく:傷が広がり、細菌が入って悪化することがあります。
- 気になって舌や指で触る:刺激を与え続けると治りが遅くなります。
- 刺激の強い食べ物を我慢して食べ続ける:しみる食事は控えましょう。
- 塩を患部に直接すり込む:強くしみて刺激になるため避けましょう(うすい塩水でのうがいは、セルフケアとして案内されることがあります)。
- 2週間以上たっても放置する:後述の通り、別の病気が隠れていることもあります。
治らない口内炎は要注意?受診の目安

ほとんどの口内炎は自然に治りますが、なかには注意が必要なものもあります。目安を知っておくと、安心して様子を見られます。
2週間以上治らないときは受診を
一般的な小さな口内炎は、1~2週間程度で自然に改善していきます。2週間以上たっても治らない・むしろ大きくなる・広い範囲に繰り返すときは、一度歯科口腔外科などで診てもらいましょう。まれに、体の病気の一症状として口内炎が出ていることもあります。
いつもと違う口内炎のサイン
次のような特徴があるときは、いつもの口内炎とは違う可能性があります。自己判断せず、早めに相談してください。
- 痛みがないのに、しこりやただれがある
- さわると硬い/だんだん大きくなる
- 白や赤の変色が続き、境目がはっきりしない
- 舌のふちなど、同じ場所にずっと居座っている

痛みが少なくても、2週間以上よくならない潰瘍や、硬いしこり、赤色・白色の変化が続くときは確認が必要だね。痛みの有無だけで自己判断せず、歯科口腔外科などで診てもらおう。ほとんどは心配ないけど、念のため確認する価値はあるよ。
口内炎は何科に行けばいい?
口内炎は、まず歯科・歯科口腔外科で相談できます。歯や被せ物が原因のこともあり、お口の中を総合的に診られるためです。長引く場合や全身症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科・内科が適していることもあります。「どこに行けばいいかわからない」ときは、まずかかりつけの歯科医院に相談すれば案内してもらえます。
口内炎を繰り返さないための予防法
口内炎の予防は、「体を整える」ことと「お口の中を整える」ことの両輪です。次のことを意識してみてください。
- 睡眠と休養を十分にとり、疲れをためない
- 鉄・葉酸・ビタミンB12などを含むバランスのよい食事を心がける
- お口の中を清潔に保ち、乾燥を防ぐ
- 尖った歯や合わない被せ物・入れ歯は早めに調整する
- 定期検診で、粘膜の状態も含めてチェックしてもらう
特に「同じ場所に繰り返す」タイプは、歯みがきや栄養だけでは防ぎきれません。歯そのものに原因があることが多いので、定期検診のときに気になる場所を伝えておくと安心です。
よくある質問(口内炎のFAQ)
Q. 口内炎に効く食べ物はありますか?
A. 特効薬のような食べ物はありませんが、粘膜や体調に関わる鉄・葉酸・ビタミンB12などを含む赤身の肉・青魚・卵・緑の野菜などを、特定の食品に偏らずバランスよくとるのがおすすめです。治るまでは、しみない・やわらかいものを選ぶと食事がラクになります。
Q. 塩やはちみつを塗ると早く治るって本当ですか?
A. 塩を患部に直接すり込むのは強くしみて刺激になるため避けましょう(うすい塩水でのうがいは案内されることがあります)。はちみつは有効性を示す研究もありますが、条件や製品の違いがあり、標準的な治療として確立したものではありません。なお、1歳未満の赤ちゃんには、はちみつは絶対に与えないでください(乳児ボツリヌス症のおそれがあります)。傷を保護したいときは、市販の口内炎薬のほうが安心です。
Q. 口内炎は人にうつりますか?
A. もっとも多いアフタ性口内炎は、人にうつるものではありません。ただしヘルペスなどウイルスが原因のものは、接触でうつることがあります。水ぶくれを伴う・発熱があるといった場合は、念のため受診しましょう。
Q. 子どもの口内炎で気をつけることは?
A. 痛みで食事や水分がとりにくくなることがあります。しみないやわらかい食事にし、水分をこまめにとらせてください。発熱を伴う・たくさんできて機嫌が悪いときは、小児科や歯科に相談すると安心です。
まとめ:口内炎は「原因を知る」ことが一番の近道

口内炎は、疲れやストレス、栄養の不足だけでなく、尖った歯や合わない被せ物といった「歯の問題」が関係していることもあります。早く治すコツは、お口を清潔に保ち、刺激を避け、栄養と睡眠で体を整えること。市販薬もうまく活用しましょう。
そして、繰り返すタイプや2週間以上治らないものは、原因を取り除いたり、別の病気が隠れていないか確認したりするために、歯科・口腔外科への相談をおすすめします。「いつもと違うな」と感じたら、そのサインを大切にしてください。気になるときは、遠慮なくかかりつけの歯科医院に相談しましょう。
参考文献・出典
- 米国国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)「Canker Sores」https://www.nidcr.nih.gov/health-info/fever-blisters-canker-sores
- MSDマニュアル家庭版「再発性アフタ性口内炎」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/
- 日本頭頸部外科学会「舌がん(市民の皆様へ)」https://www.jshns.org/modules/citizens/index.php?content_id=14
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)一般用医薬品「口内炎治療薬」添付文書情報https://www.pmda.go.jp/



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