みなさん、歯を失わないために普段心がけていること何かありますか?
歯は失えば失うほど、ご飯が食べづらくなったりして生活の質(QOL)がどんどん落ちていきます。
歯を失って後悔している人を、自分はたくさん見てきたよ
そんな人が1人でも増えてくれたら歯科医として嬉しいです。
では見ていきましょう!
歯を失う原因
そもそも何が原因で歯を失うことが多いんでしょうか。
- 第1位 歯周病
- 第2位 虫歯
- 第3位 その他(歯の破折など)
これは普段治療していても確かにそうだなと感じるよ
歯周病
歯周病とは、歯周病原菌の感染によって歯の周りの歯周組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質)に炎症が起こっている病気の総称です。
簡単に言うと、歯周病が進むと歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けるから歯がグラグラしてくるんだよ
そして歯周病の1番の原因はプラーク(歯垢)に含まれる歯周病菌です。プラークとは細菌と代謝物のかたまりです。このプラークをどれだけ日頃から落とせるかがポイントになってきます。
虫歯
虫歯とはプラーク(歯垢)の中の虫歯菌(主にミュータンス菌)が糖質を代謝して酸を産生し、歯を溶かす病気です。
あれ、またプラークが出てきたね
プラークがキーワードになりそうだね
虫歯は様々な要因で起こりますが、主に細菌、歯質、糖質の3つの因子が大きく影響します。
その他(歯の破折など)
これも普段診療していると、かなり多いイメージです。
昔神経の治療をしている歯は破折しやすくなってるよ
もちろん歯の割れ方にもよりますが、大体歯の根っこまで破折してしまうと歯を抜かないといけない事がほとんどです。
歯を失わないために出来ること3選
歯を失う原因が大まかに分かったところで、具体的に将来歯を失わないためにできることを見ていきましょう。
セルフケア(歯ブラシとデンタルフロス)
虫歯と歯周病のところで「プラーク」というキーワードが出てきました。プラークとは細菌と代謝物のかたまりです。
このプラークをどれだけ普段からしっかり落とせるか(プラークコントロール)が虫歯や歯周病を予防する最重要事項です。
これを聞いてそんなの当たり前だと思った方、結構いらっしゃるんじゃないですか?
その当たり前が出来ていない人が、たくさんいます。もちろん自分も完璧ではないと思います。
どれだけ歯医者さんで良い治療をしようが、良い材料を使おうが、このプラークコントロールが出来ない限りはいずれ歯を失うリスクは高いです。
自分の歯を長く使うための基本中のキホンなので、他のことは多少忘れても良いですが歯ブラシとデンタルフロス(又は歯間ブラシ)でのセルフケアだけは絶対に忘れず、歯を長く使いたいのであれば歯医者さんに行って自分に合ったやり方や道具を学び、楽しく続けられるようになりましょう。
歯ブラシやデンタルフロスの選び方やおすすめはこの記事も参考にしてみてね
定期健診に3〜6ヶ月に1度行く
みなさん、歯の定期健診に行ってますか?
昔よりは行く人が増え、約50%くらいの人が過去1年に歯科健診を受けていますね。
ちなみに、予防歯科先進国のスウェーデンでは歯医者さんへの定期受診率は大人で80~90%だそうだよ
そしてこの差が将来どれくらい歯が残っているかに影響していることは明らかです。
セルフケアが大事だという話をしました。歯ブラシとデンタスフロスを組み合わせて適切な使い方をすれば80%くらいは自分でプラークを落とす事ができます。
残り20%は?
ある程度歯ブラシとデンタルフロスに慣れてきた方でも100%プラークを落としきるのは難しいと思います。
歯の形態は複雑だからね
だからこそ普段自分で落としきれない汚れ(歯石など)を専門的なクリーニングで取ってもらったり、歯のトラブルを早期発見するためにも定期健診は大事ですよ。
予防歯科先進国スウェーデンを見習って日本も定期健診受診率が70〜80%くらいになれば、将来口の中のことで困る人もだいぶ減るんじゃないかなと思います。
みんな、定期健診に行こう!
ただ1つ注意点、健診での歯のクリーニング自体はどの歯医者さんでもそれほど問題はないと思いますが、そのあとトラブルが見つかった場合、治療をその歯医者さんでやるかどうかは少し慎重に見極めましょう。
色々話を聞いたり口の中を見ていると、残念な歯医者さんが数多くあります。(自分もそうならないように気をつけたいところですが)
みなさんが少なくともハズレの歯医者さんには行かないで済むように、歯医者さんの見極めに参考になる記事も今後書こうかなとは思っています。
なるべく自費の材料で歯を治す
ここまではセルフケア(歯ブラシとデンタルフロスなど)とプロフェッショナルケア(歯医者さんでやる専門的なクリーニング)の話をしてきました。
そして、もう1つ将来歯を長く使うために自分が大切だと思うのが、この「なるべく自費の材料で歯を治す」ことです。
分かりやすいように本当に簡単に書くと
- 銀歯
- プラスチック
- セラミック
- ジルコニア
- ゴールド(金歯)
大まかに分けるとこんな感じです。そして、この保険の材料と自費の材料で大きく違ってくるのが「劣化」です。
安いが、自費のものより材料がはるかに劣化しやすいので隙間が出来やすい→長持ちしにくい→将来被せ物のやりかえが多い
値段が高い分、劣化の非常に少ない優れた材料が使えるので、長持ちしやすい→将来やりかえが少ない
そして1つ言えるのが、歯はいじればいじるほど寿命は縮まります。やりかえる度に歯を削り、いずれ歯の中の神経を取り、最後に行き着くところは抜歯、つまり歯を失うわけです。
保険の材料で中が虫歯になってやりかえたり、もうやりかえが出来なくて残念ながら抜歯になったりするケースは本当に多いよ
もちろん保険だからといってすぐにダメになるわけではありません。ある程度の年月は持ちます。
自費は一生持つの?
たまに聞かれるけど、さすがに一生ものとは言えないかな
ただ口の中って3年や5年で使い終わるわけではないですよね?長い期間で考えた時に、保険の材料より自費の材料を使った方が、やりかえが圧倒的に少ないのは間違いありません。
保険と自費に関してはこの記事を参考にしてください。
まとめ
歯を失わないために今から出来ることをやっていこう。
今回は歯科医師歴約10年の自分が考える、歯を失わないためにやってほしいことを書きました。
自分の歯以上に優れたものはないよ
この3つをクリアしておけば、70〜80点くらいは取れるイメージだと個人的には思います。
1と2で普段からプラークや歯石をしっかり落とす。そして、さらになるべく劣化の少ない材料で歯を治す。
歯以外もそうだと思うけど、なるべく良い材料のものを使ってちゃんとメンテナンスしたらやっぱり長持ちはしやすいよね
自分の歯は失ったら、もう元には戻せません。
今回の記事を読んで少しでもみなさんが将来歯を失わない助けになったら嬉しいです。
ではまた!
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