みなさん、大きな虫歯や歯周病で残念ながら歯を失ってしまった経験はありますか?
虫歯で歯がボロボロになって抜いたよ…
歯周病で歯がグラグラになって3本一気に歯がなくなってしまったわ…
もちろん歯を失わないためにやれることはたくさんありますが、すでに歯を抜かざるを得ない状況の方もたくさんいるかと思います。
そんな方たちのために、現役で10年近く歯医者をやっている自分が解説します!
歯を抜いた後の選択肢
歯を抜いた後の選択肢は基本3つです。
- 義歯
- ブリッジ
- インプラント
ではそれぞれのメリットデメリットを見ていきましょう!
義歯(入れ歯)
おじいちゃんおばあちゃんがよく使ってるやつ?
そうだね
通常の入れ歯はプラスチックの人工の歯と床(歯肉の部分)、そして金具で構成されています。
それなりにメリットもありますが、やはりデメリットが多いように感じます。
使い心地が悪いの?
プラスチックと金具だからね
今まで数多くの入れ歯を作製してきました。人間慣れてくるので多くの方が使えるようにはなりますが、やはり使い心地の点で仕方なく義歯を使っている方が多いように感じます。
- 本当はブリッジにしたいけど、奥に歯が残っていない…
- インプラントをするには骨が足りない…
本当は入れ歯以外にしたいけれど、条件が合わず仕方なく入れ歯にしたという方も多くいます。歯がなくなればなくなるほど、入れ歯にせざるを得なくなることが多くなります。
今回は歯が失くなってしまった場合の話ですが、あくまで歯を失わないようにすることが1番です。入れ歯にせざるを得なくて後悔している方、たくさんいますよ。定期健診を続けて、自分の歯をなるべく長く使いましょう。
ブリッジ
ブリッジとは、失った歯があった部分の両隣に生えている歯を支柱として「橋」をかけるように人工の連結した被せもの入れる治療法のことをいいます。
入れ歯よりもできる条件が厳しい感じです。両隣の歯を削ることが、ブリッジの最大のリスクだと思います。
- 元々両隣の歯に被せものが入っている
- 両隣の歯が昔神経を取ってしまっている
そんな場合は歯を削るリスクが下がる、もしくはないので、ブリッジをやるハードルが下がるケースもあります。結構ココは大事なポイントなので、歯医者さんと相談しましょう。
個人的には保険の銀歯のブリッジを選択するのであれば、義歯の方がいいのではないかなと考えているよ
そうやって自費を選ばせようとしてるんでしょ?
・・・苦笑
前提として保険と自費の材料を最終的に選ぶのは患者さんです。こちらから強制することはありません。あくまで歯医者さんから各々のメリットデメリットを聞いて、自分の中の優先順位で決めればいいという話です。
- 値段が最優先→保険
- 少し費用をかけても、なるべく長く持ちやすい材料を使いたい→自費
という感じです。もちろんドクターの腕の部分もありますが、そこは判別しづらいところなので今は置いておきます。しかし材料に関しては自分で選べるので自分の納得したものを選んでいただければと思います。
話を戻すね
銀歯のブリッジにするくらいなら義歯の方がいいのではないかと考える理由です。ここはリスクとリターンの話になるかと思います。
どういうこと?
つまり先ほども言った歯を削るリスクの話です。歯を削るということ自体が歯の寿命を縮めたり痛みが出るリスクを伴う行為です。どんなに丁寧に治療をしたとしても痛みが出ることはあります。
歯医者の言い訳でしょ?
事実ですよ
もちろん丁寧にやった方が乱暴にやるよりは痛みが出るリスクが下がるでしょう。そこは、丁寧にやってくれる先生を見極めたいですね。
そしてブリッジはかなり歯を削らなくてはなりません。つまりそれなりに痛みが出るリスクもあるのです。そのリスクを考えたら、なるべくリターン(得られる恩恵)も大きい方が良くないですか?
自分はリスクとリターンを比べてリターンの方がかなり大きくなりそうなら、積極的に治療をやった方が良いですねと勧めているよ
つまりブリッジの場合、どうせ歯を削るというリスクを負うのであれば、将来なるべく長く持つ確率を上げる(リターンを大きくする)方が良いのではないかと思っています。
でも自費だと高額でしょ?
その通りです
3本のブリッジの場合30〜40万円くらいにはなるでしょう。
一度削った歯は元には戻りません。一度失った歯もまた生えてきたりはしません。確かに安くはありませんが、数字だけを見るのではなく、自分の組織の一部である歯を少しでも長く使える可能性を上げるためにかける費用だと考えてもらいたいなとは思っています。
インプラント
最後にインプラントです。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
患者さんと話していると、インプラントは嫌だと言う人も結構いるように感じます。おそらくテレビなどでネガティブなニュースがたまに取り上げられたりしていて、「インプラント=危ない」というようなイメージがあるのではないでしょうか。
義歯やブリッジと1番の違いは、顎の骨に穴をあけるという手術(オペ)があるということです。
やっぱり怖い…
事実義歯やブリッジに比べて身体への負担も大きく、リスクも大きいと思うよ
しかし、逆に言えばその大きなリスクがある分、うまくいった時には他の処置に比べて自分の歯に近い感覚で噛めます。見た目も自費の材料で被せることがほとんどなので綺麗です。つまり得られる恩恵も大きいというわけです。
そしてインプラントで重大な事故が起こる確率は決して高くはありません。しっかり診断して、治療すれば100%ではないにしろ90%を超える確率で成功します。
しかし低確率とは言え、リスクはあることに違いはないので、歯医者さんとしっかり話し合い納得してやるようにしましょう。
まとめ
歯を抜いた後、どういう治療があるのかを知り後悔しない選択をしよう!
何となく歯を抜いた後、どういう治療法があってどんなメリットデメリットがあるのか分かりましたか?
理解できたよ!
それは良かった
完璧な治療法などない、どの治療にも必ずメリットデメリットがある。大事なことは、そのメリットデメリットを把握した上で自分の優先順位が何かをしっかり認識することです。
- なるべく歯を削りたくない→義歯かインプラント
- つけ外しは嫌だ→ブリッジかインプラント
- とりあえず安ければ良い→保険の義歯
- 費用はある程度かけてもいいから、なるべく長持ちしやすいものがいい→自費のブリッジ、インプラント
- 見た目の目立たないものがいい→自費の義歯、ブリッジ、インプラント
というような感じです。
長持ちもして見た目も機能も良くて、でも安いものがいいというのは成り立ちません。UNIQLOに高級ブランドのクオリティを求める感じでしょうか(笑)
大事なことなので何度でもいいます。どの治療法や材料にも良いところと悪いところがあります。それを把握した上で、自分ならどれを優先したいか。自分で納得したものを選べば、何も考えないで治療するより、後で後悔しづらくなると思いますよ。
最後にこんな質問がありそうなので回答しておきます。
歯を抜いたままにしたらダメなの?
短期的にはまだ良いかもしれないけど、長期的にはやめた方がいいよ
なぜなら抜いたまま長期間放置することで
- 歯が動いてくる→後々治療困難になる可能性がある
- 噛み合わせがズレてくる
- 他の歯に負担がかかる
様々な悪影響が考えられるので、日常生活で支障がないからといって放置はしない方が良いですよ。
みなさんが少しでも将来歯のことで後悔しないようになると嬉しいです。
ではまた!
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